お酒関連の日本語の語源について勉強しましょう。
下戸(げこ)
「私、下戸なんです。」というのは「孤独のグルメ」の井の頭さんのセリフ。お酒が飲めない人のことを下戸といいます。
「上戸」「下戸」というのは家の格の差のこと。江戸時代には家の格によって、例えば結婚式のお祝いとして出す酒の量が決まっていたのです。「庶民婚礼、上戸八瓶、下戸二瓶」だったそうです。「下戸」はお祝いのお酒は少なくてよかったわけですね。ここから酒量が少ない人のことを下戸というようになったのですね。
ちなみに、上戸、下戸という家の格の区別は、日本では大化の改新(645年)後の律令時代からありました。「租庸調」という税を徴収するために当時の家は「大戸、上戸、中戸、下戸」の四等級に分かれていたとのことです。
左党(さとう)
「右党」ではなく「左党」つまり「左のグループ」ということですが、これはちょっとした駄洒落から生まれた言葉と言われています。
大工さんは右手で槌(つち)を持ち、左手で鑿(のみ)を持って仕事をします。鑿(のみ)を持つ手、つまり「のみ手」は左手なのでその「のみ手」を「飲み手」にかけて、お酒好きの人を「左党」というようになりました。
また別の説もあります。お酒が好きな人は一人で手酌で飲むことが多いです。その時は徳利(とっくり)を右手に持ち、猪口(ちょこ)を左手に持ってお酒を注ぎます。そしてそのまま左手で口に運び飲みますから左手でお酒を飲む人はお酒好き、そこから左党というようになったというものです。
「酒は百薬の長」とも言われますが、飲み過ぎは良くないですね。
酒の肴(さかな)
魚は「さかな」とも「うお」とも読みます。通常は「さかな」ですね。しかし、本当は「うお」なのです。
「さかな」は「酒+な」、酒の「な」ということです。「な」はもともと「おかず」つまり主食のお米に添えて食べる副食物の全般を指しました。お酒を飲む時に食べる「な」として「うお」がよく食べられたことから「酒な」つまり「さかな」と言われるようになりました。
ですから今でも「酒の肴(さかな)」は「魚」以外のものも指します。
ちなみに「魚」の呼び方は、海や川で泳いでいる時は「うお」、調理されて食卓に上ると「さかな」と言うことが多いようですね。
くだを巻く
お酒に酔っぱらって、くどくどと意味のないことを言うことを「くだを巻く」と言います。
この言葉は機織り(はたおり)用語の「管(くだ)」から来ています。管(くだ)というのは糸車の管、横糸を中に巻いて梭(ひ)に通して機を織ります。
この管(くだ)を巻く作業の時、ずっと音をたてていることから、酔っぱらいの繰り言(くりごと)を「管を巻く」というようになったということです。
くだを巻くのもあまりよくないですね。やはりお酒はほどほどに。
以上は「新版日本語語源辞典」Gakkenなどを参考にしました。
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