関係対象を表す表現「について」「に関して」「をめぐって」について考えましょう。
~について
「~について」の後に続く動詞はどんな動詞でしょうか?
- 猫について話す。〇
- 猫について議論する。〇
- 猫について叫ぶ。×
- 猫について舐める。×
どんな動詞でもいいわけではありませんね。「~について」の後ろに使える動詞は
「言葉を使って行う動作」に関する動詞が来ます。
~に関して
「~に関して」は「~について」とほとんど同じです。少しだけ「~に関して」の方が書き言葉に近いようです。
しかし、ちょっと違いがありそうです。「考える」という動詞がついた時です。
- 最近、人生について考えることが多い。〇
- 最近、人生に関して考えることが多い。△
どうも「考える」という動詞だけは「~に関して」と相性が悪いようです。
~をめぐって
次に「~めぐって」ですが、これは上に出てきた動詞すべてと”一応”つながるようです。
しかし、「~めぐって」については、直接「言語をつかわなくてもいい動詞」「争う」「対立する」などとの親和性がいいようです。あと「議論する」などもつながり具合がいいようです。
「議論する」「争う」「対立する」が他の「話す」や「調べる」などの動詞と異なる点は何でしょう?
「一人ではできない動作」ということですね。つまり、
「~をめぐって」は複数人が参加する動きについて使いやすいという性質をもっています
以上は「中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック」スリーエーネットワークを参考にしてまとめました。
なぜ「人生に関して考える」が変なのか?
ちょっと私なりに考察してみました。
関係対象に対するフォーカスがどの程度かという観点を入れて考えてみました。「について」「に関して」「に関する」「に関連する」と並べてみると、対象へのフォーカスが少しずつずれる(あるいは広がっている)ような感じです。
ちょっと微妙なのですが、「彼女について」と「彼女に関して」だと「関して」の方が少しフォーカスずれてもいいニュアンスがあります。
そのような意味で「考える」という積極的な思考行動は、「思う」と違って対象にフォーカスされた上での動作なので、「~について」とよくなじむのではないでしょうか。みなさんどう思われますか?
ちなみに「~をめぐって」について、同じような絵を描いてみるとこうです。
以上です。
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